ア・ラ・モード

 村上春樹「Sydney!」 [2001年02月07日(水)]
文藝春秋では、この1月に何冊かシドニー関係の本が出版されてるようで、これはそのうちの一冊。村上春樹が2000年のシドニーオリンピックに23日間滞在していたときの日記です。シドニーに行っていたと聞いた時「何でこの人がオリンピック?」と思ったんだけれど、実際に読んでみて納得。こんな風にオリンピックを描けるもんなんだなぁ、と、偉そうにも思ってしまった。素晴らしい。

作者自身の意思でオリンピック会場の中から好きなものを選んで見ているから、テレビのダイジェストのように瞬間移動するのではなく、徒歩、電車、車のスピードでオリンピックが中継されているような感じ。しかも、いかにも「村上春樹」という視点がシドニーオリンピックという大イベントのところどころにむけられていて、村上春樹ファンの私としては、もう、たまらないです。

オリンピック日記というよりは、オリンピック期間のシドニー滞在日記と言った感じで、そのお陰でオーストラリアの歴史なんかについてもたくさん触れられていたり、もちろん街中の様子なんかも描かれているんだけれど、何度も「くくくっ」と電車の中で思わず笑ってしまった描写が何度も。動物の描写のところなんか、力が抜けていて最高。

オリンピックの競技に関しても、全般的な意見ではなく(会場に居たら全部を見るなんて不可能だし)、彼も走る人だというのもあって、トライアスロンとか、マラソン、10万メートルなど、作者自身が興味を持って見ている競技について書かれているのが、普通のオリンピックの記事と違うところなんだなーと思った。否が応でも納得してしまう力があるし、当たり前だけれど、いわゆるミーハーな視点がない。暗い部分もちゃんと見て聞いて書いてくれるところもいい。華々しいだけのオリンピックになってないのがいい。

日々、色んなトラブルがあったのも書いてあったりして、いかにも「日記」という側面があったのもすごく良かった。なんだか、純粋に楽しめた感じ。

当然、オススメ。
……というか、これを読んで「つまんない」って言う人とは、私は一生折り合えないと思う(笑)。

村上春樹「Sydney!」
文藝春秋 2001年1月20日 初版発行



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